打者は選球眼が良いほど、ヒットやホームランを打つ確率が高まり、凡打が減ります。
すなわち、打者にとって選球眼はとても大事な能力であり、これを鍛える必要があります。
この記事では、選球眼の鍛え方やボールの軌道をイメージするコツを解説したいと思います。
選球眼は頭を使えば精度が上がる!
選球眼はその名の通り『ボールを選ぶ眼』のことですが、決して眼だけに頼る能力ではありません。
眼に加えて、頭を使うことで飛躍的に選球眼の精度は上がります!
ただ単に、眼に映った情報をもとにストライク・ボールを判断するのではなく、それに頭を使ってボールの軌道をイメージする力を持つべきなのです。
それが出来れば、かならずあなたの選球眼は良くなっているはずです。
ボールの軌道をイメージしよう!
ミート力を高めるためには、
ボールを点ではなく、線でとらえろ!
とよく言われます。
これは『ボールの軌道をイメージする』ということです。
では、どうやればボールの軌道をイメージすることができるのでしょうか?
それを次に説明いたします。
ボールの軌道をイメージするコツ!
図1 リリース直後
図1はピッチャーがリリースした直後を表しており、Aはボールの出所です。
ここで質問です。
この後、リリースされたボールAの軌道は、以下に示す図2(ボールB)、図3(ボールC)のどちらになるでしょうか?
図2 ボールの軌道(ボールB)
図3 ボールの軌道(ボールC)
答えは・・・
どちらともいえない
です。
なぜなら、図1に示したボールの出所を見ただけでは、情報が少なすぎてイメージできないからです。
では、図1に加えて『140km/hのストレートを投げるプロ野球選手』という情報が加わったとします。
その場合、答えは図2の可能性が高まります。
今度は、図1に加えて『100km/hのストレートを投げる小学生』という情報が加わったとします。
その場合、答えは図3の可能性が高まります。
このように、ボールの軌道をイメージするためには、様々な情報を頭で理解・分析して、自らの力で作り出す必要があるのです。
そして、実際の打席の中でそれを修正しながら精度を高めるのです。
このような積み重ねが、ボールの軌道をイメージするコツです。
選球眼の鍛え方
選球眼が良い選手ほどストライク・ボールの見極めが良く、ボール球は振りませんので、必然的に打率は高くなります。
ここでは、選球眼の鍛え方を解説します。
図4 イメージしたボールの軌道
図4のように、打者が様々な情報とともに、ボールの出所を見てボールDの軌道をイメージしたとします。
このとき、実際の結果はどうなっているのでしょうか?
図5 実際のボール軌道
図5のように、実際はイメージしたボールDより、上下左右にずれている可能性があります。
むしろ、最初からイメージしたボールの軌道と実際の軌道があっている方が珍しいかもしれません。
ですので、ボールの終着点を眼で確認することが絶対に必要なのです。
これが、
ボールを最後まで見ろ!
と言われる所以であり、選球眼の良い打者ほどボールを最後まで見て、イメージと現実の誤差修正をやっているのです。
ボールを最後まで見ず、ストライク・ボールしか気にしない打者は、イメージしたボールの軌道と実際のボールの軌道の誤差を修正できないのは当然のこと、誤差の存在すら気付かないのです。
そうなれば、バットの芯に当てることも、際どいボールの見極めも不確実になり、選球眼の悪い選手になってしまいます。
特に、アマチュア野球はプロとは異なり、何度も同じピッチャーと対決する訳ではありません。
ですので、いかに少ない情報で、イメージと実際のボールの軌道の誤差を修正できるかが、選球眼の良し悪しを左右するのです。
選球眼を鍛えるコツは、ボールを最後まで見て、イメージとの誤差を修正すること!
バッティング練習における選球眼の鍛え方
普段のバッティング練習でも、選球眼を鍛える方法がありますので紹介したいと思います。
バッティング練習でよく見る光景は、以下のようなものです。
- 最初の数球はバントをする
- 次に軽めに振り、ミートの感触を確かめる
- 徐々にフルスイングに移行し、打ち込む
- ラスト一球を上手く打てないと「もう一丁!」と気分良く終わろうとする
いかがですか?
よくあるパターンですよね。
少ない練習時間を、効率良く使いたい気持ちは分かりますが、明らかに実戦とかけ離れています。
実際の試合で、ピッチャーが気持ち良く打たせてくれるでしょうか?
打ち取られて『もう一丁!』と、泣きの一球を相手が許してくれるのでしょうか?
違いますよね。
実戦を想定したバッティング練習をしようとしたら、初球から全力で打ちにいくべきなんです!
そして初球から全力で打ちにいくためには、タイミングを合わせる工夫が必要ですし、自然とそのような努力をするはずです。
こういった積み重ねが、少しずつ打者の選球眼を養い、好打者へ導いてくれるのです。
バッティング練習でガンガン打てるのに、試合になると全然打てない打者がいます。
特にピッチングマシンに滅法強い打者とか。
そういう打者ほど、ゲージに入って初球を簡単に見送ったり、空振りしたりするんですよね。
次第にタイミングが合いだすと、ガンガン打てるようになりますが、これでは選球眼など良くなるわけがありません。
バッティング練習では、ゲージに入る前からタイミングを取るための準備し、初球から試合のつもりで取り組むべきななのです。
眼に見えたものを分析する力
相手ピッチャーの投げるボールの軌道を、打席以外でイメージするためには、眼に見えたものを分析する力が必要です。
とは言っても、特に難しいことではありません。
例えば、あなたが8番打者だとします。
相手ピッチャーの投げるをベンチから見た感じでは、ボールが速そうです。
いつもはガンガン打つあなたのチームの4番打者が、打てないだけでなく空振りをよくしています。
よく見ると、3番・5番打者も同じく空振りが多い。
このようなケースでは、『ボールが速そう』と思ったあなたのイメージよりも、『さらに速いボール』と考えるべきです。
このように、眼に見えた情報を分析することによって、ボールの軌道をイメージする精度が高くなっていくのです。
まとめ
何度も繰り返し言いますが、選球眼は決して眼だけで判断するものではありません。
打席以外で集められる情報を沢山集め、それを自分なりに分析し、ボールの軌道をイメージすることが準備段階です。
それをベースに、打席では最後までしっかりボールを見て、イメージと実際のボールの軌道のズレを認識し、修正をします。それが選球眼の鍛え方であり、決して近道はありません。
最初は面倒に感じるかもしれませんが、繰り返しているうちに『当然のこと』になりますので、焦らずじっくり取り組むことをおすすめいたします。