打者がバットを振る動作を途中で止めることをハーフスイングといいます。
ハーフスイングの際、球審が「ストライク」と判定しなかったときに限り、監督またはキャッチャーは塁審のアドバイスを受けるよう球審に要請(リクエスト)することができます。
プロ野球では1試合に何度も目にする光景ですね。
ただ、このハーフスイングのリクエストには正しいやり方があるって知ってました?
高校野球では『高校野球特別規則』で定められているのですが、甲子園に出場する強豪校の選手でも間違ったリクエストをしてしまう選手が多い。
そこでこの記事では、正しいハーフスイングのリクエストのやり方について解説したいと思います。
高校野球をやっている人(特にキャッチャー、ピッチャー)、アマチュア野球を指導している方に是非読んで頂きたい内容となっています。
【公認野球規則】ハーフスイングのリクエストのやり方
まずは、公認野球規則(Official Baseball Rules)で定められているハーフスイングのリクエストのやり方について説明します。
公認野球規則 8.02(c)【原注2】
ハーフスイングの際、球審がストライクと宣言しなかったときだけ、監督または捕手は、振ったか否かについて、塁審のアドバイスを受けるよう球審に要請することができる。球審は、このような要請があれば、塁審にその裁定を一任しなければならない。
塁審は、球審からのリクエストがあれば、ただちに裁定を下す。このようにして下された塁審の裁定は最終のものである。~略~
<引用> 2019 Official Baseball Rules 公認野球規則(日本プロフェッショナル野球組織・全日本野球協会)
簡単に説明すると、
キャッチャーや監督は、球審に対して塁審のアドバイスを求めるよう要請することができる
となります。
これに対し、プロ野球ではハーフスイングをした瞬間に塁審を指差し、ハーフスイングのリクエストをするキャッチャーがほとんどです。
公認野球規則に照らし合わせてみると、このリクエストのやり方は正しくありません。公認野球規則で定めているのは、あくまで「球審に対して塁審のアドバイスを求めるよう要請することができる」だけですからね。
ただ、プロ野球の場合は『アグリーメント』という規約・協定がありますので、そこで規定しているかもしれません。
とは言っても現在アグリーメントは非公開になっていますので、ハーフスイングについて規定があるのか、単にお咎めなしなのかについては分かりません。
【高校野球特別規則】ハーフスイングのリクエストのやり方
高校野球における正しいハーフスイングのリクエストのやり方を説明します。
高校野球では高校野球特別規則にて規定されています。
高校野球特別規則
25.ハーフスイングのリクエスト
規則8.02(c)【原注2】では、〈打者がハーフスイングをし、球審がストライクの宣告をしなかったときに、守備側から塁審のアドバイスを求めるよう要請することができる〉となっている。
ハーフスイングをリクエストする捕手は、打者を指差し、口頭で「スイング」「振った」と球審に要請することとする。したがって、捕手が一塁や三塁の塁審に対して直接指差してリクエストすることはできない。ただし、監督は、打者が振ったか否かについて、ベンチ内から捕手に指示することはできるが、伝令を使うことは禁止する。
バントは定義上スイングではない、となっているが、高校野球では、バントのときでもハーフスイングのときと同じく、球審は塁審にアドバイスを求めることができることとする。
<引用> 高校野球特別規則(2019年版)
基本的に公認野球規則と同じ内容ですが、以下のことを強調していることがポイントです。
- 具体的なハーフスイングのリクエストのやり方(口頭で「スイング」「振った」と球審に要請する)
- キャッチャーが塁審に対して直接指差しするな
しかしながら、このようなルールを知らない選手が多く、プロ野球よろしく塁審に直接指差しするキャッチャーをよく目にします。
個人的に気になるのは、キャッチャーではなくピッチャーが塁審に対して直接指差しするケース。
必死に投げているピッチャーにとって、その投球がストライクかボールは大きな問題であることは理解できます。
ただ、そんなことをすれば確実に球審の心証を悪くしますし、ハッキリ言ってメリットなんかありません。
ルールに抵触したことによるペナルティがあるわけではないものの、絶対に止めるべきです!
まとめ
この記事では、正しいハーフスイングのリクエストのやり方について解説しました。
細かいルールに感じるかもしれませんが、ピッチャーとキャッチャーなら是非覚えておかなくてはいけない内容です。先ほども触れましたが、このような何気ないプレーで審判の心証を害するのは大きなデメリットですからね。
また、指導者の方も知っておくべきルールですし、預かっているチームの選手に指導できるようにして下さい。
つまらないことで選手やチームが不利になってしまえば、頑張っている選手が可哀想ですからね。