【基本】配球を決定する3つの要素とは?

【基本】配球を決定する3つの要素とは?

捕手には色々な役割がありますが、最も重要な役割は配球を決めて投手をリードすることです。

しかし捕手経験が浅い人など、難しい・面倒くさい・・・といったイメージを持つ人もいるでしょう。

また、捕手経験の無い指導者の方が『チームの捕手に配球をどう教えたらいいの?』と頭を悩ますこともあると思います。

この記事では、そんな方々に合理的な配球を決定するための要素や考え方などを説明します。

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配球を決定する3つの要素

配球の決め方は捕手によって違いがありますが、基本的には以下に書いた3つの要素に基づいています。

 

  • 投手優先の配球
  • 相手打者優先の配球
  • 状況優先の配球

 

投手優先の配球

自軍投手の能力・特徴・調子を考えて配球を決めるやり方です。

学生野球や草野球では最も重視される配球の決め方となります。プロとは違い、対戦相手のデータがほとんどない状態で戦うことも多いですからね。

投手の能力が相手打者を圧倒している場合などは、投手に気持ちよく投げてもらうことを重視します。打たれるリスクが低ければ、どんどんストライクを投げ込ませて良いでしょう。

また、ストレートに自信がある投手ならストレートを中心に、変化球に自信がある投手なら変化球を中心に配球を組み立てます。投手の強みを前面に出して勝負すれば、打たれても投手は納得しますが、逆の場合は後悔することもありますからね。

 

投手の調子も様々です。

いつもはストレートでぐいぐい押す投手でも、調子が悪くストレートが走らない場合があります。同様に、変化球が得意な投手でも、変化球のキレがいつもより悪い場合もあります。

そのような場合、上位打線には調子が悪い球種を少なめにし打たれるリスクを下げます。打たれるリスクが低い下位打線に調子が悪い球種を多く使い、調子を取り戻させようとすることもあります。

このように投手目線に立ち、配球を決めることが投手優先の配球です。

 

相手打者優先の配球

相手打者の能力・特徴・調子を考えて配球を決めるやり方です

データが豊富にあり、相手打者の強み・弱みが分かっている場合は苦手な球種やコースを軸に攻めることが出来ます。

また、データが無い初見の相手打者でも、スイングを見て弱い球種やコースが分かる場合もあります。

打者によっては、早いカウントから打ってこない傾向(打者の特徴)もあったりしますので、早めにストライクを取りにいける場合もあります。

 

さらに3打席3安打で迎えた4打席目の打者などは乗っていますので、慎重に攻めたり、今までとは違ったパターンの配球が必要になることもあります。

このように相手打者目線に立ち、配球を決めることが打者優先の配です。

 

状況優先の配球

試合展開や得点状況に応じて配球を決めるやり方です。

初回のピンチと試合終盤のピンチでは1点の重みが違いますから、配球にも違いが出てきます。

試合中盤でも得点差によっては1、2点あげてよい場面もありますし、リードされていれば1点も与えたくない状況が続くことになります。

 

ランナーに対するケアもあります。安易に盗塁させないために、捕手が投げやすいストレートを選択する場面も自然と増えるでしょう。

ゲッツーを狙いにいく場合、三振を取りにいく場合、これらも状況によって決まるものもあります。

このように試合展開や状況によって、配球を決めることが状況優先の配球です。

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配球の3つの要素とバランスの変化

上に挙げた配球の3つの要素は、絶えずバランスを変化させて運用します。すわなち、どの要素の比重を重くし、どの要素の比重を軽くするのかを調節するのです。

 

例1)試合開始直後の1番打者

 

 

  • 投手優先の配球 ⇒ 〇
  • 相手打者優先の配球 ⇒ 〇
  • 状況優先の配球 ⇒ ×

プレイボール直後の先頭打者(1番打者)と対戦する場合は、投手の調子を見極める必要がありますので、軸になるボールを見つけるために、一通りの球種を投げさせたりします。

相手チームの情報がなければ一番打者の能力を探ることにより、チーム全体の打力を推測する手がかりになることもあります。

このことより、投手優先の配球と相手打者優先の配球の比重が高まります。

それに対し、状況優先の配球の比重は当然低くなります。得点差もありませんし、ランナーもいませんからね。

 

例2)1点リードで迎えた最終回、1アウト3塁

 

 

  • 投手優先の配球 ⇒ ×
  • 相手打者優先の配球 ⇒ 〇
  • 状況優先の配球 ⇒ ◎

とにかく1点を守りきりたい場面です。

ランナーが3塁にいますから、場合によってはウエストしてスクイズに対処する必要があります。

同時にヒットを打たれるわけにいきません。しかし状況的に内野はバックホーム体勢を敷く必要がありますので、できるだけ三振を狙いたいところです。

もっと言えば、相手打者のバットにすら当てさせたくありませんから、相手の弱点を徹底的に突く配球が求められます。

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3つの要素のバランスは状況で変わる

先ほど挙げた例1、例2に関して補足するなら、チームの強さや状況によって、3つの要素のバランスは変わりうるということです。

例1の場合、仮に自分のチームが優勝候補になるくらい強く、相手チームは弱小チームだとします。力の差があるのは分かりきっている場合、投手の調子を維持、コントロールすることを一番に考えることもあるわけなんですね。

つまり投手優先の配球を最も重視する必要があります。

 

例2の場合も同様で、圧倒的な力を持つクローザーがおり、鋭く落ちるフォークボールを持っていたとします。この状況なら、フォークボールの連投で三振を狙えますし、同時にスクイズも防げます。

この場合も投手優先の配球を優先させるべきです。

 

リードは結果論!でもプロセスを否定するな!

極論を言ってしまえばリードは結果論です。後から失敗を指摘することは簡単ですが、その場その場の状況において絶対に成功する方法など誰も知りません。

フォークボールをこのコースへ投げ込めば絶対に三振を取れる!と思って要求しても、ワイルドピッチになってしまう可能性もあります。

でも、ストレートにヤマを張っている打者だと分かっている状況で、ストレートを投げさせるわけにはいきませんよね。

この辺がリードの難しいところなんですよね。

 

でも、だからと言ってプロセスを否定してはいけませんよ!

必ず根拠をもった配球が必要ですし、その積み重ねが経験となり財産になっていくことは間違いありません。いずれその財産により、ピンチを切り抜けたり、ピンチを未然に防いだりすることがあるのですから。

そのためにも配球の3つの要素を意識すれば、明確な根拠をもってリードし易いと考えています。

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