野球では牽制球を投げない試合などほとんどありません。牽制球が無い試合など完全試合や、ノーヒットノーランの一部くらいじゃないですかね。
この記事ではランナーをアウトにしやすい『投手が投げる牽制球』について、身につけるべき動作やタイミングなどのコツをまとめています。
牽制球の目的
野球の試合において、ピッチャーが牽制球を投げない試合は無いと言っていいでしょう。牽制球と言っても、色々な目的があります。
相手の作戦を見破る
相手の攻め方が、
・送りバントで来るのか？
・ヒッティングなのか？
など、牽制球を挟むことにより、打者の反応を見たいときに使います。その反応により、相手チームの作戦を見破れることがあります。
盗塁を未然に防ぐ
ランナーのスタートを遅らせる、またはランナーがスタートするタイミングを狂わせたい場合に使います。また、牽制球を警戒させることにより、ランナーに大きなリードを取らせない目的もあります。
間を取りたい
ピンチになるとピッチャーは早くその状況を終らせたいので、投げ急ぐことがあります。投げ急ぐと球威の無い球になったり、コントロールが甘くなったりし易くなります。
これを未然に防ぎ、慎重に打者に投げるようにさせたいときに使います。
ランナーをアウトにしたい
警戒心が薄いランナーや、無防備に大きなリードを取りがちなランナーをアウトにする目的です。
今回は、『ランナーをアウトにしたい』ときに、効果的な牽制球の投げ方を説明します。
身につけるべき動作
ピッチャーは右投げとして説明します。
右ピッチャーは最低限、クイックモーションの牽制球が投げられるようになって下さい。ここで言う、クイックモーションの牽制球とは以下のことです。
プレートを外さないで投げる牽制球のこと
クイックモーションを身につけることは、たとえランナーをアウトに出来なくても、ランナーがスタートをきるタイミングを狂わせる効果もありますので、ぜひマスターして頂きたい動作です。
狙うタイミングはここ！足の速さは関係なくアウトが取れる！
最も大事なポイントは牽制球を投げるタイミングです。
手順を説明します。
手順
ピッチャーは左肩越しにランナーを見ない（ランナーを油断させる）。
ピッチャーが牽制球を投げるタイミングはキャッチャーのサインが出た瞬間。
キャッチャーはランナーがリードを広げているタイミングで牽制球のサインを出す。
ピッチャーはサインが出た瞬間、クイックモーションで一塁に牽制球を投げる。
詳細解説
もう少し詳しく説明しますね。
リードを取り終えた状態のランナーは、いつでも帰塁できる状態にありますからアウトにすることは難しくなります。
それに比べてリードを広げているときのランナーは、早くリードを取り終えたいので帰塁に対する意識は薄くなります。
とっさに牽制球が来ると逆を着かれることになりますので、反応が遅くなるんです。
左肩越しにランナーを見ない理由
これはランナーに対して、その間における無関心をアピールするためです。ピッチャーがランナーを見れば、ランナーは警戒します。ランナーはピッチャーを凝視するのが基本ですからね。
どんなランナーでも、リードを取るときはベースから離れるほど警戒心が強くなります。逆に、ベースに近いほど警戒心は弱くなります。
この牽制球は、
・ベースに近くいほど警戒度が低くなる
・早くリードを取り終えたい
と言う、ランナー心理を狙ったものです。
リードを取っている最中のランナーの逆をつくように、クイックモーションの牽制球でアウトを狙う！
狙いやすい選手の特徴
リードを広げている間は警戒する選手もいれば、警戒が薄い選手もいます。狙うのは、この警戒が薄い選手です。
傾向としては、足を売りにしている選手ほど警戒します。逆に、盗塁など無縁な選手ほど警戒は薄くなります。
本来なら、盗塁と無縁な選手はリードが狭く、牽制球でアウトにし辛いと思われがちです。でも、それはリードを取り終えた後の話であって、リードを広げている瞬間は逆なんです。
試合展開と状況を考慮すれば、効果は上がる！
例えば、投手戦で両チーム無得点で迎えた7回にノーアウトのランナーが出たとします。
こういった状況のランナーは勝敗に影響しますので、どんなランナーでも警戒します。したがって牽制球でアウトにするのは難しくなります。
では、ランナーの警戒が薄くなるときはどんな場面でしょうか？
それは試合中盤、タイムリーヒットを打った選手がランナーのときなどです。
試合開始直後の選手は牽制球に対して以下のように考えています。
どんな牽制球を投げるんだろう？
試合終盤になれば、以下のように考えていて当然です。
大事なランナーだから慎重に行こう
いずれも牽制球に対し警戒心が強いんです。
それに比べると試合中盤は警戒心が薄くなるのは当然ですね。さらにタイムリーヒットを打ったランナーはうれしさの余韻があり、さらに警戒心が薄くなることがあるのです。
タイムリーを打たれてから、ランナーを牽制球でアウトにしても遅いだろ！
こう思われる人もいるかもしれませんが、こういったアウトを一つ一つ積み重ねることが、最終的な勝利に繋がることも多いものです。
タイムリーが出たチームは盛り上がりますが、その最中にサクッとけん制でアウトにすることで、相手に寄った流れを一瞬で引き戻すこともあるのです。
個人的にはランナーが一塁の場面で、バッターに上手くライトにヒットを打たれ、一三塁の状況を作られたあとに、この牽制球で一塁ランナーをアウトにすると気持ち良いですね。難しい局面を一瞬で打破出来る訳ですから。
注意点
この牽制球を使用する場合、注意するポイントがあります。
アウトにしたいときだけ使うこと！
乱発すれば相手も警戒してしまう！
特に試合序盤は、対戦投手がどんな牽制球を投げるのかチーム全体で注目してします。ですので序盤から乱発してしまえば、普段警戒しない選手もチームの方針として警戒するようになってしまいます。
普通にクイックモーションでの牽制球は投げても良いですが、あくまでランナーがリードを取り終わった後での牽制球で使います。
リードを広げるタイミングでの牽制球は、アウトにしたいとき、かつアウトに出来そうなランナーなときに留めた方が成功率は高くなります。
たかが牽制球ですが、一瞬で流れを変えることもありますし、使って損をする訳ではありませんので、チャンスがあれば使ってみてはいかがでしょうか。
草野球などでは面白いように決まりますよ！
ファーストも虚をつかれてしまうこともありますが・・・（笑）
