バッティングにおけるヒッチとコックの役割!誰も教えてくれない飛距離アップの秘訣とは?

バッティングにおけるヒッチとコックの役割!誰も教えてくれない飛距離アップの秘訣とは?

昔から、

バッティングでヒッチするのはダメ!

とよく言われますし、今でもそのようなことを言う人がいます。

反対に、

ヒッチしても良い!

ヒッチした方がスイングスピードが速くなる!

と言う人もいます。

どちらが正しいのでしょうか?

 

これらを惑わす原因として、ヒッチを否定または推奨しておきながら、論理的な理由を説明せず(あるいは説明できない)

  • 好打者はヒッチしていない!
  • 好打者はヒッチしている!

と、取るに足らない例を持ち出していることが原因のひとつです。

また、

  • しっかりしたトップが作れる!
  • しっかりした割れが作れる!(玄人風)

と、ヒッチの効果を力説しながら、なぜそのような効果に至るのか、理由・根拠を説明していないケースも非常に多いです。

 

この記事では、ヒッチの役割を明確にし、バッティングに与える影響とその理由・根拠について解説します。

また、”コック”という動作もヒッチに関連したものですので、合わせて解説したいと思います。

ヒッチとコックを知れば、打球の飛距離アップの秘訣がどこにあるのか理解できるはずです。

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ヒッチとは?

バッティングにおけるヒッチとは、以下のことです。

< ヒッチ >

トップを作る前段階において、グリップを一度下げる動作

昔から(特にアマチュア野球)ヒッチはやってはいけない動作だと指導する人が多くいます。

そのようなヒッチ否定派の考え方は以下の通りです。

ヒッチ否定派の考え方

  • トップの位置が下がり、アッパースイングになる
  • 足でタイミングを取らず、手でタイミングを取っているので確実性に欠ける
  • 体からグリップが離れることにより、ドアスイングになる

一見するともっともらしく感じられますが、果たして本当でしょうか?

 

ヒッチ否定派の考え方は間違い

ここでヒッチ否定派の考え方の間違いを説明します。

アッパースイングの是非はともかく、ヒッチをしたからといって必ずしもトップの位置が下がる訳ではありません

なぜならヒッチの有無など関係なく、トップの位置などいくらでも変えることができるからです。

ヒッチをしたことによってトップを作るのが遅れ、結果的にトップの位置が下がったとすれば、それは始動が遅いことが原因です。

すなわち、ヒッチ=アッパースイングという考え方は短絡的過ぎるのです。

 

また、ヒッチを”タイミングを取る動作”と捉えてしまうと、手でタイミングを取っているように見えるかもしれません。

しかしヒッチしているからと言って、必ずしも手だけでタイミングを取っているとは限りません。

なぜなら、足でタイミングを取りながら、ヒッチをすることが可能だからです。

 

そして、ヒッチ否定派が最も懸念していることが

身体からグリップから離れることにより、ドアスイングになる

です。

逆に言うと、この懸念を払拭すれば、ヒッチを否定する理由が消え去ります。

実は、この懸念はあるテクニックを使えば簡単に払拭できるのです!

このテクニックはスイングスピードを速くする効果があり、飛距離アップの秘訣にもなっているのです。

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ヒッチの役割とメリット

ヒッチ否定派の懸念を払拭するテクニックを解説する前に、ヒッチの役割とメリットを説明します。

ここでハッキリ言いいますが、バッティングにおけるヒッチには合理的なメリットがあり、やってはいけない動作ではありません!

ヒッチの役割は、主に以下の2点です。

ヒッチの役割

・肩の力を抜きやすい

・深いトップを作りやすい

この2点が上手くできない人にとって、ヒッチは最大のメリットになるでしょう。

※逆に言えば、この2点が上手く出来る人であれば、ヒッチを導入する必要はありません。

肩の力を抜きやすい

野球に限らず、スポーツ選手が技量を高める過程において、力の抜き方を覚えることは非常に大切です。

力を入れることは案外簡単で、いざ試合になれば”力を入れろ!”なんていわれなくても、緊張で勝手に肩に力が入ってしまいますからね。

肩の力が抜けないために実力が発揮できず、悔しい思いをした経験を持つ人は多いと思いますが、力が入らないために実力を発揮できなかった人など聞いたことありませんしね。

 

肩の力を抜く(リラックスする)効果的なテクニックは、胸の空気を吐き出し、丹田に力を入れることです。

このとき、手を下げた方が肩の力の力を抜きやすいです。

例えば、目をつぶってリラックスしてみて下さい。立っていても、座っていても構いませんが、手を下げたほうが肩の力が抜けるでしょ?

すなわち、グリップを下げる動作であるヒッチは、肩の力を抜きやすい動きなのです!

深いトップを作りやすい

ヒッチをした後にトップを作ろうとすると、グリップの位置が遠回りしますから、トップを作る時間が長くかかってしまいます。

これは悪いことに感じるかもしれませんが、大きなメリットがあるのです。

”トップを作る時間の遅れ”が発生すると、下半身と上半身の捻りの差を簡単に作ることができるのです。

 

そもそも、タメの無い悪いスイングとは、ステップした投手寄りの足(右打者の左足、左打者の右足)が地面に着地すると同時にグリップを抜いてしまうスイングです(図1参照)。

図1 タメの無い悪いスイング

これは体の捻りが浅く、トップが浅いことが原因です。

バックスイングをフォワードスイングの助走としか捕らえておらず、トップの位置は気にしても、肝心の”トップの作り方”を意識していない選手に多く見られます。

タメのある良いスイングをしたければ、ステップした投手寄りの足が地面に着地したとき、しっかりトップを維持することです。

ステップした投手寄りの足とグリップが最も離れた位置にある状態が深いトップであり、体が十分捻られている状態なのです。

 

さらに、上で挙げた2つの役割は、互いに関連性を持っています。

体により多くの捻りを与えようとするとき、体に力を抜いた方が効果的です。

すなわちヒッチにより、

体の力を抜きやすい状態になる

バックスイングで体に捻りを与えやすくなる

その結果、深いトップが作りやすくなる

となります。

そして、これこそが”ヒッチするとしっかりしたトップが作れる!”と言われる理由・根拠なのです。

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【重要テクニック】コックを解説

それでは、ヒッチ否定派が最も懸念する

身体からグリップから離れることにより、ドアスイングになる

を払拭するテクニックを解説します。

それはトップを作ったとき、捕手側の手(右打者なら右手、左打者なら左手)を『コック』させることです。

たったこれだけです!

コックとは?

コックとは図2ように、親指の背面の方へ手を曲げることです。また反対に、コックした手を解いて手刀の方へ曲げる動きをアンコックと言います。

図2 コックとアンコック

コックをするとスイングスピードが速くなる

捕手側の手をコックすると、図3のように自然にバットのヘッドが投手の方へ向かい、左腕(右打者の場合)とバットのなす角θが鋭角になります。

その結果、慣性モーメントが小さくなり、スイングスピードが速くなるのです。

図3 コックした場合

慣性モーメント

「回転しにくさ」の程度を示す量のこと。

慣性モーメントは回転半径が大きいほど大きくなり、逆に回転半径が小さくなるほど小さくなる性質を持つ。

深いトップを作った状態でも、手をコックさせれば回転半径を最小限に抑えること(小さくなる)ができ、物理的に慣性モーメーンが小さくなります。

その結果、回転しやすい状態になりますので、必然的にスイングスピードが速くなり、強い打球を打つことが可能になります。

コックをするとインサイドアウトスイングになる

図4 コックした場合(上から)

図4はコックを取り入れたスイングを上から見た図です。

コックを維持しながらスイングすると、バットのヘッドを残すことができ、自然とインサイドアウトスイングになります。

すなわち、バットのヘッドが遠回りすることなく、ドアスイングを未然に防止することができるのです

 

 

コックしない場合はどうなるの?

では、深いトップを作ってコックしない場合はどうなるでしょうか?

スイングスピードが遅くなる

この場合、図5のように左腕(右打者の場合)とバットのなす角θが鈍角になってしまいます。

そうすると回転半径が大きくなり、慣性モーメントが大きくなります。

慣性モーメントが大きくなると”回転しにくい”状態になりますので、結果的にスイングスピードが遅くなり、強い打球は打てなくなります

図5 コックしない場合 

ドアスイングになる

図6 コックしない場合(上から)

図6はコックしないスイングを上から見た図です。

コックせずスイングすると、バットのヘッドが遠回りしてしまい、ドアスイングになってしまいます

さらに、慣性モーメントが大きいため回転し難く、腕や手を使って強引にバットを振りがちになってしまいます。

このようにコックを使わないことは、打者にとってデメリットだらけなのです。

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コックを知らないと、浅いトップが正しいと錯覚する!

図5、図6のように、コックをせず深いトップを作ってしまうと、いとも簡単にドアスイングになってしまいます。

コックを用いれば簡単に解決できることは先ほど解説した通りです。

しかし、コックの存在を知らない場合、おかしな方法で解決しようと考えてしまうので注意が必要です。

 

それは、深いトップはダメ、トップは浅くしろ!”と考えてしまうことです。

浅いトップを作ってしまうと、慣性モーメントを小さくすることができますが、図1のような溜めの無い悪いスイングになるのです。

浅いトップを作るとグリップが体の近くにありますので、打者がフォワードスイングに移行し、左肩(右打者の場合)を開くと同時にバットを振り出すことになるからです(図7参照)。

図7 浅いトップの弊害

図7を見てもらえれば分かる通り、両肩を結んだ線とバットの角度に注目すると、平行になっていますよね。

ちょうど一枚のドアに収まるような形に見えることから、これも立派なドアスイングなのです。

ヒッチを否定する人の多くは、コックという動作を理解していないため、ヒッチ=深いトップ=ドアスイングと誤解してしまいます。

そして、ドアスイングを避けるために浅いトップを推奨しますが、結果的にドアスイングになってしまう・・・という皮肉な運命が待っているのです。

この浅いトップを『コンパクトなスイング』と勘違いしている指導者は案外多いのですが、間違っていますから注意して下さいね。

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まとめ

この記事では、ヒッチとコックについて解説しました。

ヒッチ肩の力を抜きやすくする』『深いトップを作りやすくするという役割があり、これらが上手くできない人にとって、最大のメリットになります。

コック慣性モーメントを小さくし、スイングスピードを加速させるメリットがあります。

そしてコックは、ヒッチをやる・やらないに関わらず、打者が絶対に導入すべき動作なのです。

打球の飛距離アップの秘訣として、ヒッチとコックは効果絶大ですので、一度試してみることをおすすめいたします。

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