フォロースイングはボールを打ち終わった後のスイングですので、打球に対し直接影響を与えるわけではありません。
しかしフォロースイングは全体的なスイングの良し悪しを間接的に示唆し、悪いフォロースイングには何か根本的な欠点が潜んでいることが多いのです。
この記事では良いフォロースイング・悪いフォロースイングを説明し、どういったスイングをすれば良いフォロースイングになるか解説します。
フォロースイングは打球の強さに寄与しない
インパクト時間(ボールとバットが接触している時間)と、人間の反応時間の関係から、フォロースイングは打球の強さに直接影響を与えるものではありません。
じゃぁ、フォロースイングはどんな形でもいいんだ・・・
こう思われる方もいるかもしれませんが、そうではありません。フォロースイングはスイング全体のの良し悪しを表しているからです。
良いフォロースイングは必然的に力強く大きなフォロースイングになります。同様に、悪いフォロースイングは弱々しく小さなフォロースイングになってしまいます。
悪いフォロースイングはそれ自体が問題であるわけではありませんが、そうなってしまう原因がどこかに潜んでいると言うことです。
悪いフォロースイング
まず、悪いフォロースイングについて説明します。図1をご覧ください。
図1
これは右打者のフォロースイングですが、インパクト前後で右手を被せてしまっています。これは悪いフォロースイングです。
もし右手を被せた後に瞬間にインパクトしてしまったら、インパクトの衝撃に負けて力強い打球が打てないからです。
なぜインパクトの衝撃に負けてしまうかというと、右手が裏突きになっていないために、右腕全体ではなく手首でインパクトの衝撃を受けてしまうからです。
そして、すぐに右手をすぐに被せる結果、フォロースイングは小さくなってしまいます。
参考記事
インパクトの衝撃に負けてしまう理由や裏突きに関して、以下の記事で詳しく解説しています。
なぜ悪いフォロースイングになってしまうのか?
悪いフォロースイングの原因は捕手側の手(右打者の右手、左打者の左手)をすぐに返してしまうことです。
では、なぜ『悪いフォロースイングになってしまう=捕手側の手をすぐにかえす』のでしょうか?
その一番の理由は『コンパクトに振ろうとすること』です。
意識的にコンパクトなスイングを心掛けると、多くの選手はインパクト前後で、捕手側の手を早めにアンコックさせて小さなフォロースイングになってしまうんですよね。
ひとこと
対戦する投手の球速が速かったりすると、チームの監督から『コンパクトに振っていけ!』と言われることってありますよね。
普通のスイングとコンパクトなスイングって何が違うのでしょうか?この考えがあいまいだと、選手はスイングの動作の中で何かを省いてしまうんですよね。
『コンパクト』を時簡短縮的な意味で言ってるとするなら、アプローチが全然間違っているんです。始動してからは、省ける動作など無いんです。
本当に省ける動作が存在するなら、それは最初から無駄な動作なんですよね。
悪いフォロースイングの対策
悪いフォロースイングにならないためには、フォロースイングを大きくすることです。
大きなフォロースイングをするには、捕手側の手の返しを最大限遅らせることです。そうすることによってインパクトの衝撃に打ち勝つスイングも可能になります。
球速の速い投手に対する場合はどうすればいいの?
このような疑問を持つ方も多いと思います。対策は簡単です。始動を早くすれば良いのです。
バックスイングからフォワードスイングに移る際、体の開き(肩の開き)が遅いと、打者はグリップを先に抜こうとします。
グリップを先に抜こうとすれば、捕手側の腕は早く伸びきってしまいます。もう腕が伸ばせなくなってしまうと、手を返すしかない。
結果的に手打ちにならざるを得ないんです。そして、この元凶は『体の開きが遅いこと』『その遅れを取り戻そうとすること』です。
コンパクトに振るために、バックスイングを小さくすることもいけません。バックスイングはフォワードスイングの準備段階で力を溜める動作になりますから、十分体を捻る必要があるからです。
このように、バッティングは始動してから省ける動作など無いんですよね。ですので、始動を早めることが重要なのです。
そうすればバックスイングも短縮しなくて済みますし、フォワードスイングで体を開くための時間を確保することもできます。
参考記事
始動を早めて打つことのメリットや、デメリットがほとんど無いことを以下の記事で解説しています。
良いフォロースイング
次に良いフォロースイングを説明します。図2をご覧ください。
図2
右手を被せず、アンコックさせていない『裏突き』を両腕が伸びきるまで維持します。そして限界まで両腕が伸びてから、右手をアンコックさせてフィニッシュに移行させる。
このように振れば、自然と大きなフォロースイングになるのです。
何度も言いますが、インパクトの際にボールとバットが接触している時間と人間の反応時間の関係から、打者はインパクトした時タイミングを正確に認識できません。
だからこそ、インパクトの衝撃に負けない手の形、すなわちアンコックさせていない『裏突き』を両腕が伸びきるまで維持することによって、強打できるポイントの範囲を広げてあげるべきです。
ひとこと
投手はタイミングを外すように攻めてきます。打者はそれに対応せねばなりません。しかし、どんなときでも理想のポイントで打てる訳ではありません。
多かれ少なかれポイントをずらされることの方が多いものです。だからこそ、若干ずれたポイントでも強打できる状態を作れた方が有利です。
悪いフォロースイングのように、すぐ右手を被せてしまえば、予想より緩いボールに対して常にこねるバッティングになってしまいます。
運よくバットの芯に当てたとしても強打できませんので、力強い打球は打てません。
まとめ
フォロースイングは打球の強さに直接影響を与えるものではありません。しかし、フォロースイングの良し悪しはスイングそのものの良し悪しを表しています。
そして悪いフォロースイングを直そうと、フォロースイング自体を見直しても解決はしません。
元凶はもっと根深く、スイングを始動するタイミングに潜んでいるのですから。
・悪いフォロースイングは弱々しく小さい!
・悪いフォロースイングは捕手側の手をすぐ返してしまうことが原因!
・コンパクトに振ろうとしないこと!
・悪いフォロースイングを直すには、始動を早めれば良い!
・良いフォロースイングはアンコックさせていない『裏突き』を両腕が伸びきるまで維持すること!