【野球のルール】監督、コーチがマウンドに行ける回数は?キャッチャーが行く場合は?高校野球、プロ野球、メジャーの違い

【野球のルール】監督、コーチがマウンドに行ける回数は?キャッチャーが行く場合は?高校野球、プロ野球、メジャーの違い

野球の試合ではマウンドに選手や監督、コーチが集まることがあります。

このような場面は、基本的に ”守備側がピンチ・攻撃側がチャンス” ですから、その後の試合展開を左右する場面として印象に残りやすいですよね。

この『監督、コーチがマウンドに行く』行為ですが、ちゃんとルールがあります。

この記事では監督、コーチがマウンドに行ける回数、およびそのルールを解説するとともに、以下の疑問についてお答えしようと思います。

  • 監督、コーチがマウンドに行くルールとは?
  • キャッチャーが行く場合はマウンドに集まったとカウントするのか?
  • 監督、コーチがマウンドに行ける回数は?高校野球やプロ野球、メジャーで違いはあるのか?
  • 他のアマチュア野球や草野球はどんなルールなのか?
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監督、コーチがマウンドに行くルールとは?

 

監督、コーチがマウンドに行くルールは、公認野球規則に規定されています。

以下が公認野球規則に記載されてるルールです。

 

【公認野球規則 5.10(ℓ)および(m)】クリックで開きます↓

公認野球規則 5.10 プレーヤーの交代

(ℓ)《 監督・コーチがマウンドに行ける回数 》

プロフェッショナルリーグは、監督またはコーチが投手のものへ行くことに関して、次の規則を摘要しなければならない。

(1)この項は、監督またはコーチが、1イニングに同一投手のもとへ行ける回数を制限する規則である。

(2)監督またはコーチが、1インニングに同一投手のもとへ2度目に行けば、その投手は自動的に試合から退かなければならない。

(3)監督またはコーチは、そのときの打者が打撃を続けている限り、再びその投手のもとへ行くことはできない。

(4)攻撃側がその打者に代打者を出した場合には、監督またはコーチは再びその投手のもとへ行ってもよいが、その投手は試合から退かなければならない。

監督またはコーチが投手のもとへ行った後、投手板を囲んでいる18フィートの円い場所を離れたら、1度行ったことになる。

【5.10ℓ原注】~略~

【注1】我が国では本項にある、”投手板を囲んでいる18フィートの円い場所” を ”ファウルライン” と置き換えて適用する。

【注2】~略~

【注3】~略~

【注4】~略~

【注5】アマチュア野球では、本項については、各連盟の規定を適用する。

 

5.10(m)《 新 》マウンドに行く回数の制限

以下の規則は、メジャーリーグで適用される。~略~

【注】我が国では、所属する団体の規定に従う。

<引用> 2019 Official Baseball Rules 公認野球規則(日本プロフェッショナル野球組織・全日本野球協会) 

 

公認野球規則で規定している『監督、コーチがマウンドに行くルール』を要約すると以下のようになります。

  • 公認野球規則で規定しているのはプロ野球・メジャーリーグである
  • アマチュア野球は各連盟の定めた規定に従う
  • プロ野球では『1イニングに同一投手のもとへ行ける回数』を規定している

高校野球、プロ野球、メジャーリーグ、その他のアマチュア野球において、監督、コーチがマウンドに行ける回数に違いがあるのは、基本的に各連盟の定めた規定に従うためなんですね。

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「高校野球」で監督、コーチがマウンドに行ける回数

 

高校野球では、高校野球特別規則に規定されています。

 

高校野球特別規則

14.監督またはコーチが、マウンド上の投手のもとへ行く回数規制

 

監督またはコーチが、マウンド上の投手のもとへ行く回数を規制した規則5.10(ℓ)は、高校野球では、試合中監督はグラウンドへ出ることができないと定められているので適用しない。

<引用> 高校野球特別規則(2019年版)

これにより、高校野球では監督、コーチがマウンドに行ける回数は 0回 となります。

その代わり、監督の指示を伝える『伝令』があり、これについてルールがあります。

 

【高校野球特別規則 15.タイムの制限】クリックで開きます↓

高校野球特別規則

15.タイムの制限

試合の進行をスムーズにするために、下記の規則を採用する。

(1)守備側の伝令によるタイムの制限

① 監督の指示を伝える伝令は、マウンドに行ける回数を1試合に3回までとする。

注)回数は球審と控え審判で確認し、球審は伝令のたびにベンチの監督とタイムの回数を指差し確認する。都道府県大会や地区大会で控え審判がいない場合は、球審と守備についている側の塁審(一塁側が守備についている場合は一塁塁審、三塁側が守備についている場合は三塁塁審)が確認する。

② 延長回(タイブレーク開始後も含む)に入った場合は、それ以前の回数に関係なく、1イニングにつき1回だけマウンドに行くことが許される。

③ この場合の伝令がマウンドに行くときは、ファウルラインを超えたかどうかを基準とする。

④ 伝令は、審判員が ”タイム” を宣告してから30秒以内とする。

注)時計は控え審判が行い、球審に知らせることとする。都道府県大会や地区大会で控え審判がいない場合は、守備についている側の塁審が計時する。

内野手(捕手を含む)が2人以上マウンドに行った場合は、1回にカウントする

注)野手がマウンドに集まることについては、各塁と投手板の間の中間距離を目安とし、それを超えた場合は、1回としてカウントする。この場合も、球審は守備側のベンチに向かって指でそのタイムの回数を知らせる。

⑥ 投手交代の際に野手がマウンドへ集まることや、この時に伝令がマウンドに行ってもタイムの回数にカウントしない。ただし、投球練習が始まってから再び複数の野手がマウンドへ集まったり伝令がマウンドに行った場合は、回数をカウントする。

⑦ 投手が塁や本塁のカバーリングをした後、内野手のうち2人が投手に近寄りマウンド周辺までついて行く場合、よどみなく自然の流れの中での動きと審判員が認めたときは、タイムの回数とは数えない。しかし、立ち止まって作戦の打ち合わせしていると見なされるときは、タイムとしてカウントする。

<引用> 高校野球特別規則(2019年版)

 

要約すると以下のようになります。

< 高校野球の場合 >

  • 伝令がマウンドに行ける回数は、1試合に3回まで
  • 延長戦になった場合、1イニングにつき1回まで
  • 伝令は、審判員が ”タイム” を宣告してから30秒以内まで
  • 内野手(捕手を含む)が2人以上マウンドに行った場合は、1回にカウントする

 

キャッチャーが1人でマウンドに行った場合は、マウンドに行った回数としてカウントされません。

サインの確認や、ピッチャーに声をかけにキャッチャーがマウンドに行くことがありますが、他の内野手は迂闊に近づいてはいけません。

貴重な『マウンドに行ける回数』を消費してしまいますからね。

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「プロ野球」で監督、コーチがマウンドに行ける回数

 

日本のプロ野球では、公認野球規則5.10(ℓ)に規定されており、以下の内容になっています。

< プロ野球の場合 >

  • 1イニングに同一投手のもとへ行ける回数は1回まで
  • 1イニングに同一投手のもとへ2回行った場合、投手交代しなければならない

 

高校野球とは違い、公認野球規則では1試合で監督、コーチがマウンドに行ける回数については規定がありません。

ただし、プロ野球の場合は『アグリーメント』という規約・協定が存在します。

以前はアグリーメントを一般公開していたのですが、現在は非公開になっており、具体的なルールは知り得ないのです。

 

一般公開されていたとき、セ・リーグのアグリーメントで

「試合のスピードアップに関する6球団申し合わせ事項」

バッテリーの打ち合わせで捕手が(単独で)マウンドに行く回数を1試合で3回までとする

となっていました

このアグリーメントが現在も同様の運営をされているのか、変更があったのか、一般公開されていないので分からないのです。

同様に、1試合で監督、コーチがマウンドに行ける回数について、アグリーメントで規定しているかもしれません。

いずれにせよ、一般公開されていない以上分かりません。

 

アグリーメントとは?

プロ野球組織の構成、及び運営の細目を定める目的で存在している『日本プロフェッショナル野球協約(通称:野球協約)』。いわば、日本球界の”憲法” とされているものです。

これまで取り上げてきた『公認野球規則』は、競技上の基本的なルールが記されており、プロ・アマで統一された内容となっています。

これらの中間的な位置づけにあるのが『アグリーメント』と言われる規則であり、セ・パ各リーグが定めている共通見解といえるものです。

 

セ・リーグとパ・リーグで、微妙にルールが違うことがあるのは、このアグリーメントの内容が違うためなんですね。

例えば・・・1990年~2010年の回数(イニング)・時間制限について

セ・リーグ パ・リーグ
1990年 ・延長15回まで

・時間制限なし

・引き分け再試合

・延長12回まで

・時間制限あり

1994年 ・延長12回まで

・時間制限なし

2001年 ・延長12回まで

・時間制限なし

2010年

 

これだけ見ても、引き分けのなりやすさに違いがあり、セ・リーグとパ・リーグで異なるルールを採用していることが分かると思います。

これはほんの一例で、DH(指名打者)制や、プレーオフ制度など、様々なものがあります。

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「メジャーリーグ」で監督、コーチがマウンドに行ける回数

 

メジャーリーグでは、公認野球規則5.10(m)に規定されており、以下の内容になっています。

 

【公認野球規則 5.10(m)】クリックで開きます↓

5.10(m)《 新 》マウンドに行く回数の制限

以下の規則は、メジャーリーグで適用される。マイナーリーグでは、1試合のマウンドに行ける回数について、本項規定と異なる制限を設けてもよいし、制限を設けないこともできる。

(1)投手交代を伴わないでマウンドに行くことは、9イニングにつき1チームあたり6回に限られる延長回については、1イニングにつき1回、マウンドに行くことができる。

(2)監督またはコーチが投手と話すためにマウンドに行った場合、回数に数える。また、野手が投手と相談するために守備位置を離れた場合や投手が野手と相談するためにマウンドを離れた場合も、位置や時間にかかわらず回数に数える。ただし、次の場合を除く。

(A)打者が打撃を完了して次の打者が打席に入るまでの間、投手と野手がいずれも守備位置から離れずに話し合いが行われた場合。

(B)雨天時に野手がスパイクの汚れを払うためにマウンドに行った場合。

(C)投手の負傷、または負傷の可能性があるために、野手がマウンドに行った場合。

(D)攻撃側チームによる選手交代の通告後、野手がマウンドに行った場合。

(3)サインの確認-1試合(または延長回)で決められたマウンドに行くことができる回数を使い果たした後に、捕手が出したサインについて投手と意思の確認ができていないと球審が判断した場合には、捕手からの要求があれば球審は捕手に少しだけマウンドに行くことを認めてよい。決められた制限回数を使い果たす前にサインの確認のためにマウンドに行った場合は、回数に数える。

【注】我が国では、所属する団体の規定に従う。

<引用> 2019 Official Baseball Rules 公認野球規則(日本プロフェッショナル野球組織・全日本野球協会)

 

要約すると以下のようになります。

< メジャーリーグの場合 >

  • 監督、コーチがマウンドに行ける回数は1試合に6回まで
  • 延長戦になった場合、1イニングにつき1回まで
  • 野手が投手と話すためにマウンドに行った場合、1回とカウントされる
  • 捕手がサインの確認でマウンドに行った場合、1回とカウントされる

 

1試合で6回マウンドに行くことが許されており、一見すると多く感じるかもしれませんが、野手や捕手がマウンドに行っただけで1回とカウントされますので、厳しいルールだと思います。

要は、『必要な話なら堂々とマウンドに行けばよいし、必要のないことであればマウンドに行くな』ということなんでしょうね。

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「社会人野球」「大学野球」で監督、コーチがマウンドに行ける回数

 

社会人野球および大学野球では、社会人及び大学野球における試合のスピードアップに関する特別規則により規定されており、以下の内容になっています。

 

【社会人及び大学野球における試合のスピードアップに関する特別規則】クリックで開きます↓

社会人及び大学野球における試合のスピードアップに関する特別規則

4.監督またはコーチが投手のもとへ行くことに関して、規則5.10(ℓ)を適用する。

5.監督またはコーチが1試合(9イニング)に投手のもとへ行ける回数を3回までとする。この場合、投手を交代させた場合は回数に数えない。3回投手のもとへ行った後、4回目以降に行けば、そのときの投手は自動的に試合から退かなければならない。スピードアップの観点から、監督またはコーチが捕手を呼びよせる行為も同様とする。なお、延長回に入った場合には、規則5.10(ℓ)の規定を適用する。

6.イニングの途中で投手交代させる際に監督またはコーチが投手のもとへ行き、新しい投手が準備投球を始めた後もそのまま留まっていた場合には1回に数える。またイニングの初めから投手を交代させる場合においても、監督またはコーチがマウンドに行った場合1回に数える。

7.監督またはコーチが4回目に投手のもとへ行くとき、または1イニングに2回目に投手のもとへ行くときは、監督は投手のもとへ行く前に球審に投手交代を告げなければならない。

8.~略~

9.監督またはコーチが投手のもとへ行った場合、審判員がタイムをかけてから45秒以内に打ち合わせを終了する。

10.内野手(捕手を含む)が投手のもとへ行ける回数を、1イニングにつき1回1人だけとする。監督またはコーチが投手のもとに行ったときも1人の内野手だけ(この場合は捕手を含まない)が投手のもとへ行くことが許され、そしてそれは内野手が投手のもとへ行った回数に数えられる。なお、投手交代により新しく出てきた投手が準備投球を終えた後、捕手が投手のもとへ行っても、捕手が投手のもとへ行った回数には数えない。

<引用> 社会人及び大学野球における試合のスピードアップに関する特別規則(公益財団法人日本野球連盟 公益財団法人全日本大学野球連盟 )

 

要約すると以下のようになります。

< 社会人野球、大学野球の場合 >

  • 監督、コーチがマウンドに行ける回数は1試合に3回まで
  • 延長戦になった場合、1イニングにつき1回まで
  • 監督、コーチがマウンドに行った場合、45秒以内に打ち合わせを終了すること
  • 内野手(捕手を含む)が投手のもとへに行ける回数は、1イニングにつき1回1人だけ

 

監督、コーチがマウンドに行ける回数と内野手(捕手を含む)が投手のもとへ行ける回数を区別しています。

これにより、捕手や内野手は安易に投手のもとへは行けません。

高校野球では、捕手や内野手が一人で投手のもとへ行く回数に制限はありませんから、それに比べて厳しいと言えますね。

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「その他のアマチュア野球」「草野球」で監督、コーチがマウンドに行ける回数

 

その他のアマチュア野球草野球の場合、公認野球規則により各連盟または所属する団体の規定を適用することになっています。

場合によっては、参加する大会や本戦・予選でルールが異なることもありますので、注意が必要です。

 

【公認野球規則 5.10(ℓ)および(m)】クリックで開きます↓

公認野球規則 5.10 プレーヤーの交代

(ℓ)《 監督・コーチがマウンドに行ける回数 》

【注5】アマチュア野球では、本項については、各連盟の規定を適用する。

 

5.10(m)《 新 》マウンドに行く回数の制限

【注】我が国では、所属する団体の規定に従う。

<引用> 2019 Official Baseball Rules 公認野球規則(日本プロフェッショナル野球組織・全日本野球協会)

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まとめ

 

いかがでしたか?

監督、コーチがマウンドに行ける回数はリーグや連盟により違いがあります。しかし、共通しているのは試合のスピードアップを目的にしていることです。

私が高校球児の頃(キャッチャーでした)、野手がマウンドに行く回数に制限が無かったと記憶しています。それゆえ『ピンチの時には必ずマウンドに集まれ!』と指導されました。

例えばノーアウト1・3塁のピンチを迎えた場合、

  • どんな守備フォーメーションをとるのか?
  • 一塁ランナーの盗塁に対しどんな対応をするのか?

など、内野手の意思を統一するため、よくマウンドに集まったものです。

しかし試合進行の妨げにもなりますので、球審の方に『早く!』と言われることも・・・(汗)

しつこい球審だと、私(キャッチャー)がマウンドからキャッチャーボックスに戻った後でも

キャッチャー遅いよ、もっと早く!

とボソボソと愚痴を言われたものです(笑)

 

しかし、公式戦で守備フォーメーションの確認を怠ったせいで余計な失点をしたり、それが原因で負けてしまうなら、多少審判に愚痴を言われた方がマシですし、多くのチームは同じような考え方だったと思います。

だからこそ、厳密なルールが作られて試合のスピードが改善されてきたのでしょう。

そして、この流れは今後も進むと思われますし、それにより観客はもっと快適に野球観戦ができるようになると思います。

 

1試合で監督、コーチがマウンドに行ける回数
マウンドに行ける回数
高校野球 0回(伝令は3回)
プロ野球 不明 ※1
メジャー 6回
社会人野球 3回
大学野球 3回
その他 所属連盟が定めた規定数

※1 アグリーメントにより規定されている可能性がある。しかし一般公開されていないため不明。

 

カウントの定義
カウントの対象
高校野球 伝令・野手が2人以上
プロ野球 不明 ※1
メジャー 監督・コーチ・野手
社会人野球 監督・コーチ ※2
大学野球 監督・コーチ ※2
その他 所属連盟が定めた定義

※1 アグリーメントにより規定されている可能性がある。しかし一般公開されていないため不明。

※2 「内野手(捕手を含む)が投手のもとへ行ける回数は、1イニングにつき1回1人だけ」という規定もある。

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