野球をプレーする上で欠かせない『ストライクゾーン』ですが、あなたは正しく理解していますか?
ストライクゾーンの幅=ホームベースの幅、は知っている人が多いと思いますが、上下のストライクゾーンについては何となく知っている・・・っていう人が多いのでは?
ストライクゾーンを狭くするために小さく構えろ!
なんてことを言う人もいますが、本当に打者の構えでストライクゾーンの高さが変わるのでしょうか?
この記事では、そんな疑問に答えつつ、ストライクゾーンの定義についても触れたいと思います。
ストライクゾーンの定義
ストライクゾーンは、公認野球規則(Official Baseball Rules)に明記されており、以下のように定義されています。
公認野球規則 定義74
STRIKE ZONE「ストライクゾーン」-打者の肩の上部とユニフォームのズボンの上部との中間点に引いた水平のラインを上限とし、膝頭の下部のラインを下限とする本塁上の空間をいう。
このストライクゾーンは打者が投球を打つための姿勢で決定されるべきである。
【注】投球を待つ打者が、いつもと異なった打撃姿勢をとってストライクゾーンを小さく見せるためにかがんだりしても、球審は、これを無視してその打者が投球を打つための姿勢に従って、ストライクゾーンを決定する。
<引用> 2019 Official Baseball Rules 公認野球規則(日本プロフェッショナル野球組織・全日本野球協会)
公認野球規則により、高めのストライクゾーンは肩の上部とユニフォームのズボンの中間点になります。
ストライクゾーンの高さは打者の構えで変わるのか?
公認野球規則のストライクゾーンの定義によれば、
このストライクゾーンは打者が投球を打つための姿勢で決定されるべきである。
となっています。
すなわち、打者がピッチャーが投球するまでに構える姿勢ではなく、打者がピッチャーの投球後に打とうとする姿勢でストライクゾーンを決めるのです。
具体的には、打者がバックスイングでトップを作った姿勢=ストライクゾーンの高低が決まる姿勢、と言えるでしょう。
さらに、
投球を待つ打者が、いつもと異なった打撃姿勢をとってストライクゾーンを小さく見せるためにかがんだりしても、球審は、これを無視してその打者が投球を打つための姿勢に従って、ストライクゾーンを決定する。
と公認野球規則に書かれています。
すなわち、打者がストライクゾーンを小さくするために、腰をかがめたりしゃがんだりして構えても、ストライクゾーンの高さは変わらない、と解釈するのが一般的です。
厳密に言えば、ストライクゾーンの高さは変わる?
先ほど、『一般的には構え方でストライクゾーンの高さは変わらない』と書きましたが、
球審が『打者が投球を打つための姿勢』に従ってストライクゾーンを決定するなら、実際に『打者が投球を打つための姿勢=しゃがみ打ち』ならストライクゾーンは変わるんじゃないの?
という考え方もできます。
そもそもストライクは『打者が自然体で打てる範囲』という考え方に基づいているのですが、この『自然体』の解釈が難しいと思いませんか?
何が自然体で、何が自然体では無いのか?
これには明確な答えは無く、過去の習慣に従って球審の主観によって決定されるものです。
逆に言えば、ストライクゾーンの高さを下げる目的ではなく、投手の投球を打ち返すためのしゃがみ打ちであり、かつ、その打ち方が一般的に認知されるような状況になれば、球審も認めないわけにはいかず、結果的にストライクゾーンは低くなるかもしれません。
ただ、仮にそのようなことになっても、野球というスポーツのゲーム性が変わる恐れがありますので、ストライクゾーンの定義に改定が入ると思いますけどね(笑)
とは言っても、現状は『かだんだり、しゃがんで打つ=自然体で打つ』とはみなされることは難しく、試合でしゃがんで構え、
これが僕の自然体です!このまま打ちますのでストライクゾーンは低くなるはずです!
などと球審に言わないようにしましょう(笑)
たとえ正論だったとしても、審判がノーと言えばノーですから。
公認野球規則 8.02 審判員の裁定
(a)打球がフェアかファウルか、投球がストライクかボールか、あるいは走者がアウトかセーフかという裁定に限らず、審判員の判断に基づく裁定は最終のものであるから、プレーヤー、監督、コーチ、または控えのプレーヤーが、その裁定に対して、異議を唱えることは許されない。
<引用> 2019 Official Baseball Rules 公認野球規則(日本プロフェッショナル野球組織・全日本野球協会)
ストライクゾーン変更の歴史
ストライクゾーンは時代と共に変化し、その都度ルール変更されています。
ストライクゾーンの高低に関する変更が多く、それこそ「打者の構え方でストライクゾーンが変化する」と解釈すべき時代があったのも事実です。
ですので、そういった時期に野球をやり始めた方やルールを覚えた方だと「打者の構え方でストライクゾーンが変化する」と考えても不思議じゃないんですよね。
このストライクゾーンの歴史は記事「【野球のルール】ストライクゾーン変更の歴史「あれ?昔と違うぞ」と思ったら読んでみて!」に詳しく書いてありますので、興味のある方はぜひご覧下さい。