ランナー満塁の場面は大量失点してしまう可能性がある反面、全ての塁でフォースアウトを狙うことができます。
それだけに野手は守りやすい場面とも言えますね。
守備側は試合展開から『ある程度の失点を許容する』『1点も許さない』を考え、それに則った守備フォーメーションを用いることになります。
具体的にランナー満塁の守備フォーメーションは以下のようになります。
- 三塁ランナーの本塁生還を絶対に許さない ⇒ 前進守備
- アウトカウントを増やすことを優先する ⇒ 中間守備
『前進守備』は1点勝負の試合終盤に用いることが多い守備フォーメーションです。
前進守備では内野手が前に守るため、二塁ランナーや一塁ランナーが大きなリードを取りやすくなり、シングルヒットや長打で2点・3点失う可能性が高まってしまいます。
ただし投手と打者の力量を考慮して、遠くに打球を飛ばされるリスクが低い場合、守備側は守りやすいというメリットもありますから試合序盤~中盤でも用いることもあります。
『中間守備』はピッチャー・ファースト・サードはホームゲッツー、セカンド・ショートはセカンドゲッツーを狙う守備フォーメーションです。
ある程度の失点を許容しつつ、アウトカウントを増やすことを優先する場合に用います。
1点を失うことを嫌がったせいで大量失点し試合の大勢が決まる・・・なんてことはできるだけ避けたいですからね。
いずれのフォーメーションもミスをすれば失点につながる場面ですから、冷静で確実なプレーが求められます。
この記事では、前進守備・中間守備を含めたランナー満塁の守備フォーメーション14パターンを紹介します。ランナーが一人のときに比べて、各野手の役割が細分化されますので、しっかり自分の動きを頭に入れてプレーしましょう。
ランナー満塁は守備側にとって厳しい場面ですが、各選手がやるべきプレーは以下のいずれかになりますので、自分がどの役割を担うのか、しっかり理解して試合に臨みましょう!
- 打球処理
- 送球
- ベースカバー
- 打球処理のカバーリング
- 送球のカバーリング
- 中継プレーに入る(カットマン)
※各ポジションの詳細な動き方についてはリンク記事に解説しています。
前進守備のフォーメーション
図1 前進守備のフォーメーション
ランナー満塁、前進守備のフォーメーションは、”相手に1点も与えたくない” 場合に用います。
内野手は前に出て守り、本塁送球で三塁ランナーをフォースアウトまたはホームゲッツーを狙いましょう。
リスクを背負っている以上、内野ゴロの場合はたとえ本塁送球が微妙なタイミングだとしても、バックホームで勝負しなくてはいけません!
注意して欲しいのは、ホームゲッツー崩れの間に二塁ランナーが本塁へ突入する可能性があることです。
守備側は絶対に1点を防ぎたい場面ですし、ホームゲッツーとなれば最高の結果ですから、キャッチャーは微妙なタイミングでも一塁へ送球しがちです。
それに対し二塁ランナーは大きなリードが取れますから、かなり早い段階で三塁に到達し本塁を狙う体勢が整っています。
このため、守備側の ”1点を防ぎたい” ”ピンチを脱したい” という気持ちが強ければ強いほど、二塁ランナーの本塁突入を許しやすくなるのです。
これを防ぐためには、キャッチャーが二塁ランナーのスタートを頭に入れておき、野手は二塁ランナーが三塁を蹴ったら大きな声でキャッチャーに伝えることがポイントです。
また、キャッチャーが一塁へ送球・・・と見せかける偽投をし、三塁を回った二塁ランナーをアウトにするプレーも有効です。
アマチュア野球では ”負けたら終り” という試合も多く、常に平常心でプレーしろと言うのは難しい面もありますが、土壇場で冷静なプレーをするためには、日頃の練習で繰り返し体に覚えさせるしかありません。
- 【ファースト】一二塁間を結んだラインまで前進し、バックホームに備える。スクイズにも警戒する必要あり。
- 【セカンド・ショート】それぞれ一二塁間・二三塁間を結んだラインまで前進し、バックホームに備える。ピッチャーの投球後は、キャッチャーの返球に対するカバーリングをする。
- 【サード】牽制球に備えて三塁ベースに入る。ピッチャーが投球した瞬間、二三塁間を結んだラインに移動し、バックホームに備える。スクイズにも警戒する必要あり。
- 【外野】犠牲フライやポテンヒットに備えて若干前に出て守る。
中間守備のフォーメーション
図2 中間守備のフォーメーション
ランナー満塁、中間守備のフォーメーションは、アウトカウントを増やすことを優先する守備フォーメーションです。
基本的にピッチャーゴロ・ファーストゴロ・サードゴロはホームゲッツー、セカンドゴロ・ショートゴロはセカンドゲッツーを狙います。
ただし全ての塁がフォースプレーですので、打球の強弱や飛んだ位置によって送球する塁を変えてもかまいません。
例えば、三遊間の深いところに転がったショートゴロの場合。
二塁または一塁に送球しても間に合わないと判断したら、三塁に送球し二塁ランナーをフォースアウトにします。
もちろん、このプレーを成立させるためにはサードが三塁ベースに入っていることが条件です。
このように、内野手はどこでもフォースアウトが狙えるよう柔軟な動きが要求されます。
また前進守備・中間守備問わず、セカンドとショートは連携して二塁ベースに入ったり、二塁ベースに入るフェイントを入れたりして、二塁ランナーにできるだけ大きなリードを取らせないようにしましょう。
さらに、キャッチャーのピッチャーに対する返球のカバーリングも欠かさないように!
- 【ピッチャー】ホームゲッツー狙い。
- 【ファースト】ホームゲッツー狙い。
- 【セカンド】セカンドゲッツー狙い。
- 【ショート】セカンドゲッツー狙い。
- 【サード】ホームゲッツー狙い。
- 【外野】犠牲フライ・シングルヒット・長打など、いかなる打球においても二塁ランナーや一塁ランナーおよび打者走者に無駄な進塁を許さないプレーを心掛ける。
記事一覧(ランナー満塁)
以下のリンクをクリックすると、解説記事に移動します。
1. スクイズ
2. ワイルドピッチ(パスボール)
3. ピッチャーゴロ(前進守備)
4. ピッチャーゴロ(中間守備)
5. キャッチャーゴロ(前進守備)
6. キャッチャーゴロ(中間守備)
7. ファーストゴロ(前進守備)
8. ファーストゴロ(中間守備)
9. セカンドゴロ(前進守備)
10. セカンドゴロ(中間守備)
11. サードゴロ(前進守備)
12. サードゴロ(中間守備)
13. ショートゴロ(前進守備)
14. ショートゴロ(中間守備)
< 牽制球 >
ピッチャーおよびキャッチャーの牽制球は、ランナー2,3塁の守備フォーメーションとほぼ同じになりますので、以下の記事を参考にして下さい。
⇒【守備フォーメーション】ランナー2,3塁の25パターン!打球処理とカバーリングまとめ
< 外野へのシングルヒット >
外野へのシングルヒットは三塁ランナーのホームインを阻止することはできず、二塁ランナーのホームインを阻止する動きになります。その場合はランナー1,2塁の守備フォーメーションと同じになりますので、以下の記事を参考にして下さい。
⇒【守備フォーメーション】ランナー1,2塁の26パターン!打球処理とカバーリングまとめ
< 長打 >
長打を打たれた場合、三塁ランナーおよび二塁ランナーのホームインは阻止できず、一塁ランナーのホームインを阻止する動きになります。その場合はランナー一塁の守備フォーメーションと同じになりますので、以下の記事を参考にして下さい。