この記事では、以下の状況におけるベースカバーと各ポジションのカバーリングについて解説します。
ランナー一塁
二塁盗塁
【概要】ランナー一塁、二塁盗塁のベースカバー
一塁ランナーが盗塁を仕掛けた場合、セカンドかショートのどちらかが二塁ベースカバーに入ります。
この二塁盗塁のベースカバーはセカンドが入るべきでしょうか?それともショートでしょうか?
答えは”状況により変わる”となります。まず、この点を整理して話を進めますね。
基本的な考え方
図1 二塁盗塁時のベースカバーの決め方
図1をご覧下さい。これは二塁盗塁におけるベースカバーの決め方を表したフローチャートです。
セカンドが二塁ベースから離れている場合はショートが入る
セカンドが送りバント等で一塁ベースに入る必要がある場合、スタートのポジショニングが二塁ベースと離れているので二塁ベースに入るのことが難しくなります。
ですので、必ずショートが二塁ベースに入ります!
もしセカンドが二塁ベースに入ろうとしたら、攻撃側にバントエンドランを仕掛けられたらお手上げです。
セカンドが初動で二塁ベースカバーに向かってしまうと、その位置から一塁ベースカバーに入ろうとしても間に合いませんからね。
右打者ならセカンド、左打者ならショートが入る
先程のように、セカンドが送りバント等で一塁ベースカバーに入る必要がない場合は、右打者と左打者によって二塁ベースに入る選手が変わります。
- 右打者の場合は、セカンドが二塁ベースに入る
- 左打者の場合は、ショートが二塁ベースに入る
これは、打者が放つ打球に対応するためです。一塁ランナーがスタートしたとしても盗塁とは限らず、ヒットエンドランやランエンドヒットの可能性もありますからね。
打者の特性に応じたベースカバー
”右打者の場合はセカンド、左打者の場合はショートが二塁ベースーに入るのが基本”ですが、打者の特性に応じて変えるやり方もあります。
基本はセカンドが二塁ベースに入りますが、打者のタイプ(右打ちが得意など)によっては一二塁間を狙って打ってくることがあるでしょう。
右打ちを狙ってくるタイプの打者であれば、一二塁間をフォローするためにセカンドは右打ちに備えて守り、ショートが二塁ベースカバーに入ります。
このように、試合状況と打者の特性を考慮した決め方をする方が、より効果的な守備フォーメーションとなるわけです。
セカンドとショートが入る方を決めるやり方はリスクがある
先程、試合状況と打者の特性を考慮して決めた方が良いと説明しましたが、最終的に誰がそれを決めるべきでしょうか?
チームによってはセカンドとショートがその都度コンタクトを取る場合もありますが、そういった決め方はあまりおススメいたしません。
状況的にはショートが二塁ベースカバーに入る場面ですし、打者も一二塁間を狙ってくるでしょう。
それに対し、キャッチャーが打者に引っ張らせないように、以下のような配球を実践しました(投手は右投げ)。
- 内角は全部見せ球とし”ボール”にする
- 外角にシュート・シンカーで勝負する
- 三塁方向へ打球を飛ばせるように仕向けることが目的
このような配球が功を奏して思惑通りショートゴロを打たせても、一塁ランナーがスタートを切っていた場合、”セカンドとショートが”ショートが入る”と決めていたら、打球が外野に抜けてヒットになってしまいます。
このように、セカンド・ショートの考え方とキャッチャーの考え方に整合性が取れていないと、目的を共有していないバラバラな守備フォーメーションになってしまうのです。
キャッチャーが入る方を指示するやり方がベスト!
先程の例を防ぐためには、キャッチャーが判断し、野手にサインを送る方法がベストです!
キャッチャーは試合状況・打者の特性を観察していますし(それがキャッチャーの仕事!)、ピッチャーの配球も決めます。
だからこそキャッチャーは最も機能する守備フォーメーションを選択できますし、野手にブロックサインで指示を出して全体の動き方に整合性を持たせることも容易です。
決まった動きは相手に見透かされる!
一球ごとにキャッチャーがサインを送って、二塁ベースに入る選手を決めるメリットはまだあります。
先程の例で言えば、内角の見せ球(あえてボールにする)のときはショートが二塁ベースに入るように指示したとします。
反対に外角のシュート・シンカーのときはショートは打球に備えさせ、セカンドが二塁ベースに入るように指示したとします。
内角のボール球を要求した場合は打者が打つ可能性は低いですし、仮にストライクゾーンに入ってしまって打者が打ったとしても、引っ張る可能性が高いためセカンドがフォロー可能です。ですのでショートが二塁ベースカバーにまわります。
外角のシュート・シンカーを要求した場合は、ショートへゴロを打たせることが目的ですので、ショートがその打球に対してフォローできるポジションにいる必要があります。ですのでセカンドが二塁ベースカバーにまわります。
これらは守備側から見たら合理的な判断に基づいていますが、相手チームから見ると、二塁ベースカバーは同じような状況でもセカンドが入ったり、ショートが入ったりして、不規則に感じるのです。
常に決まった動き方をしてしまうと、相手チームに見透かされます。具体的に言えば、
”ある状況において必ずショートがベースカバーに入る”
ということが知れてしまうと、勝負所で相手はショートを狙って打ち返してきます。強いチームほどそういう情報を利用してきますからね、
- 【状況】セカンドが二塁ベースから離れる場合(送りバント等で一塁ベースカバーに入る)は、ショートが二塁ベースカバーに入ること!
- 【打者】基本は右打者ならセカンド、左打者ならショートが二塁ベースカバーに入る
- 【打者の特徴】一塁側を狙っている場合はショートが二塁ベースカバーに入る
- 【配球】配球に応じて、二塁ベースカバーに入る選手を決める
- 上記ポイントを踏まえて、キャッチャーが一球ごとにサインを出して、二塁ベースカバーに入る選手を決める方法が最も効果の高い守備フォーメーションとなる
守備フォーメーション
ショートが二塁ベースカバーに入る場合
守備図1 ショートが入る場合
各ポジションの動きはここからジャンプできます
ピッチャー キャッチャー ファースト セカンド サード ショート レフト センター ライトセカンドが二塁ベースカバーに入る場合
守備図2 セカンドが入る場合
各ポジションの動きはここからジャンプできます
ピッチャー キャッチャー ファースト セカンド サード ショート レフト センター ライトピッチャー
打者へ投球後、キャッチャーが二塁へ送球したボールにぶつからないように気をつけましょう。
キャッチャーが投げる瞬間に背を向けてしゃがみ、送球を避けているつもりになっているピッチャーがいますが、これでは送球を避けていることになりません。
ボールから目を離しているので、キャッチャーが送球ミスをすれば体にボールがぶつかってしまう可能性がありますからね。
硬式球が頭に当たった場合、無防備ですので非常に危険です。ですので絶対にボールから目を離さないように!
キャッチャー
二塁に送球します。二塁はタッチプレイになりますので、できるだけ低く強い送球を投げましょう。
ファースト
スタートを切った一塁ランナーが引き返し、ランダウンプレー(挟殺プレー)が発生する可能性があります。それに備えて一塁ベースに入ります。
セカンド
ショートが入る場合(守備図1)
打者が打ってくる打球に備えます。また送りバントの場合は一塁ベースカバーに向かいます。打者が打ってこなかった場合、二塁ベースへ向かい、ショートがファンブルした場合のカバーリングをします。
セカンドが入る場合(守備図2)
キャッチャーの送球に合わせて二塁ベースに入ります。二塁ベースとの距離によって、入るタイミングを調節しましょう。
ランナーの動きにつられて、二塁ベースに入るタイミングが早すぎることのないように!
ギリギリまで打者の打球をフォローできるようにすることが大切です。
サード
キャッチャーの二塁送球が悪送球になった場合や、二塁ベースカバーに入った選手がファンブルした場合、一塁ランナーが三塁進塁を狙い三塁送球が発生する可能性があります。それに備えて三塁ベースに入ります。
ショート
ショートが入る場合(守備図1)
キャッチャーの送球に合わせて二塁ベースカバーに入ります。二塁ベースとの距離によって、入るタイミングを調節しましょう。
ランナーの動きにつられて、二塁ベースカバーに入るタイミングが早すぎることのないように!
ギリギリまで打者の打球をフォローできるようにすることが大切です。
セカンドが入る場合(守備図2)
打者の打ってくる打球に備えます。打者が打ってこなかった場合、二塁ベースへ向かい、セカンドがファンブルした場合のカバーリングをします。
レフト
二塁送球のカバーリングのため二塁ベースに近づきます。
タッチプレイの場合、送球がランナーに当たってしまい、ボールが予測できない場所に転がることもあります。それに対応できるように、ある程度の距離を取って備えましょう。
センター
ライト
スタートを切った一塁ランナーが引き返し、キャッチャーが一塁に送球する可能性がありますから、まず一塁送球に備えたカバーリングに向かいます。
キャッチャーが二塁送球したら、そのカバーリングのために二塁ベースに近づきましょう。
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